クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

1997/9/15 ヴァッハウ渓谷

海でも山でもそうだが、アウトドア・レジャーを楽しむ際に最も気掛かりとなるのは、天気だ。

この日、我々はウィーン市内を抜け出し、ヴァッハウ渓谷でのドナウ川遊覧船観光を企てていた。

今、ふと思ったのだが、もし天気が悪かったらどうするつもりだったのだろう・・・。何か代替の計画を考えていたのだろうか。
うーむ、思い出せない。
「なーに、そんなのいい天気になるに決まってるじゃんか」みたいなポジティブシンキングだったか?

結論を言うと、この日の天気は快晴! 絶好のクルーズ日和。いやいやラッキー、結果オーライ。二人の日頃の行いが良かったというわけね。

スケジュールとしては、まずメルクという有名な修道院がある町に行く。
修道院見学後、そこから遊覧船に乗ってデュルンシュタインという小さな村を訪ね、そしてウィーンに帰ってくる。

これ、地球の歩き方に「おすすめ」と書いてある定番中の定番コース。

出発にあたり、ウィーン西駅で「メルクまでの鉄道切符」+「修道院の入場チケット」+「遊覧船の乗船切符」のセットチケットを購入。これもまた、地球の歩き方からの入れ知恵なり。

この頃、海外旅行の情報ツールと言えば、書籍の「地球の歩き方」がとにかく定番。旅行のバイブルだった。
海外に行くと、日本人の個人旅行者は“ほぼ全員”と言っていいくらい、皆片手に黄色い本を持っていた。この本を持っている持っていないで、日本人かどうかの区別が付くくらい(笑)。
私は、同類扱いされるのが嫌なので、片手に持ち歩かず、常にバッグの中にしまっていたが、頼りにしていたことは間違いありません。
(やがて出版元のダイヤモンド社は中国語版や韓国語版なども刊行し、海外販売を展開したため、日本人だけでなく東アジア人がみんなこの本を片手に持つようになり、実に気持ち悪かった(笑)。)

旅行中常時ネットに繋がり、情報を簡単に入手できる今の時代に突入して、私も最近ようやくこの本の携帯が必須ではなくなった。長年、本当にお世話になりました。


ウィーンから電車でおよそ1時間半。メルクに到着。

「華麗なるバロックの大修道院がそびえる街、メルク」(by地球の歩き方

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修道院は丘の上に建っており、まさにそびえ立っている感じ。内部は実に壮麗で、大理石の間、図書室、付属教会など、ため息が出るくらいに豪華。

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私は慎重にドナウ川クルーズ船の出発時間を気にしながら館内を巡るが、目が眩むほど素晴らしいので、ついつい足が止まってしまい、やがて時間が押してくる。Nくんもその美しさに圧倒されて佇んでいるが、そんな彼を「さあ行こう」と急かすのは何だか気が引けるし、かといって遊覧船に乗り遅れたら元も子もないし・・・焦る(笑)。

 

修道院見学を終え、やや早足で船着き場に向かい、なんとか間に合って船に乗り込んだ。ここからはおよそ1時間半の優雅なクルーズだ。

ドナウ川流域で最も美しいと言われるヴァッハウ渓谷は、まさに『美しく青きドナウ』のイメージにぴったりの世界」(by地球の歩き方

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デュルンシュタインに到着し、ここで下船。水色の修道院教会が美しく目立っている。

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街はメルヘンチックだが、とても小さくて、300メートルも歩くとあっという間に街の端に行き着いてしまう。ということで、ここではのんびりゆっくり過ごそう。周辺はぶどう畑が広がっているので、カフェやレストランのテラスでワイングラスを傾けながらくつろぐ、なんていうのがいいかもね。
私の場合はビールでしたが(笑)。

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デュルンシュタインからウィーンへの帰路は、電車で。
ウィーン西駅で購入したセットチケットには、帰りの電車切符が含まれていない。なので、ここデュルンシュタインで買わなければならない。
ところが、この日、デュルンシュタイン駅に駅員はおらず、切符売り場もシャッターが閉まっていた。(たまたま無人だったのか、常時なのかは不明。)

うーーん、切符が買えない。どうしたらいいのだ!?

そこに若いお姉ちゃんが通りがかったので、声を掛けて呼び止めた。
「すみません、英語、大丈夫ですか?」
(こういう時、「Can you speak English?」って言っちゃダメよ。「あんた英語の能力あるの?」みたいな見下したニュアンスになるからね。「Do you speak English?」あるいは「Speak English?」が正解。)

彼女の返事は「ノー」。
ガクッ。

そこで私は、知っているドイツ語のたった一単語で再び尋ねた。
「オーケー。ええーっと、Kassa?」(切符売り場のこと)
お姉ちゃん、すぐさま理解してくれて即答。
「in the train!」
うん、確かにこれくらいの初級英語なら話せるってわけだ(笑)。

電車に乗り込むと、検札で車掌が回ってきた。
まさか無賃乗車で咎められるなんてことはないよな、と少し不安だったが、無事に車掌から直接切符が買えた。

ヴァッハウ渓谷クルーズ、本当に楽しかったし、いい思い出だ。
いつかまた行きたいと思っているのだが・・・あれから20年以上経ち、その後ウィーンに20回くらい行っているのに、未だにその機会がないというのは、いったいどういうわけだ?

いや、機会というのは自分で作るもの。
ないということは、自分が作っていないってこと。
「その気がないだけだろ?」と言われても仕方がないな(笑)。