クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

1988/8/16 ルツェルン1

あっという間にグリンデルワルトを離れることとなったこの日の朝。
ホテルをチェックアウトし、我々はレンタカーオフィスを訪ねた。既に日本から代理店を通じて予約を入れてある。

レンタル期間は一週間。返却場所はウィーン国際空港。
ここからは電車ではなく、二人で交代で運転しながら最終目的地へと移動していく。初めてのヨーロッパで、我々は大胆にもドライブ旅行を選択したのであった。
理由はいたってシンプル。車の旅には、電車の出発時間などに縛られない自由と、どこにでも行ける機動力があるからだ。この魅力は捨てがたい。

ところが、いざ運転してみると、結構大変。
慣れない左ハンドル、右側通行、それにウィンカーとワイパーも日本製と逆。いつもの癖でウィンカーを出すと、人を小馬鹿にしたようにワイパーが「プワー」と作動。
慎重に運転している時はいいが、ちょっとでも油断したり、あるいは急な車線変更で慌てウィンカーを出せば、その瞬間、プワー、プワー・・。
くそー、む・か・つ・く。

この日の目的地はルツェルン。それほど遠くない。
ベルナーオーバーラントを離れる前に、もう一つアルプスの展望台シルトホルンに登ることにした。車で、まずグリンデルワルトと反対側の谷間の村、ラウターブルンネンへ。

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その先にあるシュテッヘルベルクからロープウェイを乗り継いで、シルトホルン山頂へ。

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360度見渡せる展望台なので、そこに回転レストランがある。

名残を惜しむようにアルプスを眺めたら、下山し、ルツェルンへ出発だ。


海外での車の旅では、人に道を躊躇なく尋ねる度胸というのがとっても大事。
現代のようなカーナビゲーションは存在しない。
それどころか、我々は詳細なロードマップさえも持っていない。
頼れる物は4つ。
持参したガイドブックと、道路にある案内標識、自らの勘、そして人から教えてもらう情報、である。

そろそろ市の中心部に入ってきたかなあ、と思ったら、車を止め、通行人に声をかけ、ガイドブックを開き、掲載されている市街地のエリアマップを見せ、そして尋ねる。

「すみませーん、今、我々は、どこらへんですか??」
「あー、えーと・・・今ね、我々はね、だいたいここらへんですよ」
指で示されたのは、冊子の思い切り外側・・。エアーを指してやがる。
ぜんぜん中心部にたどり着いてねえじゃん(笑)。

こんなやりとりを繰り返しながら、ようやくなんとかホテルに到着する。
このパターンが最終日まで続いた。


ルツェルンのホテルでは、残念ながらまだチェックインの時間になっていなかった。
仕方なく、我々はぶらりと出かけることにした。
車をホテルの目の前の路上に駐車して・・・。

戻ってくると、車のフロントガラスに、何やら紙が貼り付けてあった。
も、もしかして、これは・・・。
駐車違反切符!!!  あっちゃー、やられた~!!

車の旅の初日にいきなり違反かよ。 トホホ、泣けてくる。
すぐにホテルの受付の女性に「どうしましょ?」と相談したら、「あらまー、駐車許可証があったのに・・・」だってよ。
バカタレ、早く言えっての。

その人のアドバイスに従い、我々は警察署に行くことになった。場所もちゃんと教わった。
それにしても、なかなか無ぇよな、観光旅行で警察に出頭するなんてな。はっはっは。
(笑いごとじゃねえだろ)

警察の担当官は優しかった。優しかったが、決して許してはくれない。
その場で罰金を払い、我々は無事に解放された。
その際、担当官から、しきりに何かを聞かれた。はっきりと覚えていないが、確かクリンクだかクランクだか、そんな単語をしきりに言っていた気がする。
全然意味がわからず、二人してポカーンとしていたら、ダメだこりゃと諦められ、サヨナラとなった。
今、思うに、あれは「タイヤロックされてないですか?」と聞かれていたのではなかろうか。なんとなくそんなような気がする。

いずれにしても、我々はお勉強をしたってわけだ。罰金は、高い授業料。さあ、気を取り直そう。再び市内観光にお出かけだ。

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夜、食事をし終わってホテルに戻る道中、湖畔に花火が打ち上がるのを目撃し、しばし見入った。
明日から、有名な国際フェスティバル、ルツェルン音楽祭が開幕する。
夜空を彩る光景を眺めながら、この花火は前夜祭としての祝砲なのかなー、多分そうなんだろうなー、と思った。