先日、新国立劇場の20-21新シーズンラインナップが発表された。
同劇場の演目ラインナップについては、これまでも散々のごとく酷評してきた。もう今さら何をか言わんや。
ということで、来シーズンの演目で、「いったい何度目だよ?」という「こうもり」「トスカ」「フィガロの結婚」「カルメン(ただし新演出)」が並んでいるのを見ても、別にがっかりしない。なぜなら、最初からこれっぽっちも期待していないから。
欧州の一流劇場でシェフ・コンダクターを歴任してきた大野さんを持ってしても、この程度しか並べられない。所詮はそのレベルの劇場というわけだ。
しかし、新国立劇場はこれらのラインナップを自画自賛し、そしてアピールする。
「何をおっしゃいますか。熱心なファンの皆さんの期待にも、ちゃんと応えてますよ」。
そうやって、お子様ランチメニューの中に、取ってつけたかのようなマニア向けを2つ3つ付け加え、帳尻を合わせて、平然と胸を張る。
具体的に言うと、ブリテン「真夏の夜の夢」、ストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」、新作「アルマゲドンの夢」がそうだが、フン、姑息としか言いようがないね。
どうせ、これを上演したら最後、もう二度と日の目を見ることはない。
そうやってこの劇場は、初級者向作品の再演を飽きるくらい繰り返す一方で、これまでに数々の中級者・上級者向け作品を、たったの一シーズン限りで葬ってきた。
それでいいのかよ!?
やるのはいい。だが、やるんだったら今後に繋げろよ。たとえレア作品であろうと、新制作(レンタルも含む)した以上は、レパートリーに組み入れて、再演を目指せよ。それが劇場の使命ってもんじゃないのか?
ちなみに、来シーズン、私が必ずやチケットを買うであろう演目は、10のうちたったの2つしかない。オペラ劇場だというのに、これが、オペラ・マニアに対して行う仕打ちなのだ。悲しいねえ。