4日に続いて二度目の鑑賞。
こんなに面白いオペラ、こんなに面白い演出、こんなに面白い演奏。一度だけではもったいないでしょ。前回記事でコメントくださったkontaさんのおっしゃるとおり、今度いつやるか分からない演目なんだからさ。
で、二度目になると、前回気付かなかった事が見えてきて、これがまた面白い。
リニューアル前のカテリーナの部屋に飾ってあった額の絵は、前回観たときはよく見えなかったが、あれはジノーヴィの製粉工場の写真だね。
それから、セルゲイが夜這いしてカテリーナの部屋に入り、就寝するため脱ぎ捨ててあったカテリーナのストッキングをヤラシそうに舐め嗅ぐわけだけど、このストッキングがのちに屈辱的に奪われることとなる例の靴下なわけだ。そういや意味深な演技がくっ付いているぞ。
強姦されそうになるイズマイロヴァ家の下女アクシーニャは、セルゲイの夜這いが見つかってむち打たれる際に勝ち誇ったように笑っていて、いかにも「ざまーみろ」って感じだったが、それだけでなく、カテリーナの逮捕の際にも同様の表情を見せていた。単に男連中に陵辱された恨みだけでなく、カテリーナをも含むイズマイロヴァ家の人間から蔑まれた扱いに対する恨み返しなのであろう。
それから、これはいささか勘ぐりすぎ、深読みしすぎかもしれないが・・・ジノーヴィの息の根を完全に止めるために用いた殺人道具、斧。私だけだろうか、これにピンと来たのは。
間男と企み連んで夫を斧で殺し、華やかな暮らしを手に入れることが出来たが、最後は復讐されて自分が死ぬ運命となる・・・熱心なオペラファンなら分かるかな?
そう、R・シュトラウスのオペラ「エレクトラ」!!
ジノーヴィを殺した後、お部屋を綺麗にし、髪を金髪にしてドレスに身を包んだカテリーナは、私はクリテムネストラ(エレクトラの母)の姿と重ね合わさった。
クリテムネストラは、殺人を犯した罪に苛まされ、悪夢にうなされて安眠できなかった・・・まさにカテリーナと一緒だ。
果たしてR・ジョーンズはこの有名なオペラとその題材となったギリシャ悲劇からインスピレーションを得たのか??
う~ん、深読みしすぎかもしれないけど・・でも「斧」ですよ、斧。脚本にはない武器だよ。
ま、解釈は人それぞれだからさ、別にそう読み取ってもいいよね?
今日このことに気付いた時、私は思わず「あっ!!」と口が開いてしまったのだが、だれか同じように考えた人いなかったかしら。
オーケストラの東京交響楽団は本日も絶好調。音楽的には本当に言うことナシだった。
あえて一つだけ言わせてもらうなら、主役達の演技。
少々細かいが、顔の表情や手の仕草、視線の先位置など・・もう少し真に迫って欲しかった。その部分においては日本人キャストのアクシーニャ出来田さん、ボロ服の男高橋さん、ソニェートカ森山さんに軍配が上がったと思う。
こんな素晴らしい演目を採り上げてくれた若杉さん、ありがとう。早く良くなって復帰してくださいね。