2009年5月9日 東京交響楽団定期演奏会 サントリーホール
指揮 ユベール・スダーン
インゴルフ・トゥルバン(ヴァイオリン)
ウェン・シン・ヤン(チェロ)
ブラームス 悲劇的序曲
ブラームス ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
シューマン 交響曲第1番 春(マーラー版)
スダーンは‘画家’だと思う。
音楽を表現する、というより、音楽を描くという感じがする。
オーケストラの各プレーヤーに対しては、徹底して混じりけのないピュアな絵の具になることを要求。昨年の一連のシューベルトシリーズでもそうだったが、時に、弦楽器の奏法にまで手を入れるほどのこだわりを見せる。ブラームスとシューマン、同じロマン派時代の作曲家を並べたが、テンポも含めてそれぞれに筆タッチの差を変えている。リハーサルはさぞかし綿密なのだろうと推測する。
そのようにして十分に下準備出来た音楽を、本番では今度は微細の部分を解放させ、タクトに燃焼度を高めて音楽をより一層昇華させる。完成品の出来上がりだ。
特にこの日はライブレコーディングということもあってか、スダーンの唸り節がいつもより冴えていた。
私にとって、はっきり言って「つまんない」シューマンの交響曲を十分に楽しむことが出来た。心からスダーンに感謝したい。
それにしても、東京交響楽団。
連日の新国立のピットではち切れんばかりのショスタコーヴィチを披露している中での、この定期演奏会の見事な変わり様!拍手!パチパチ!