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2008/2/6 ミュンヘン2 ナブッコ

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2008年2月6日 バイエルン州立歌劇場
ヴェルディ作曲 ナブッコ
指揮 パオロ・カリニャーニ
演出 ヤニス・コッコス
パオロ・ガヴァネッリ(ナブッコ)、マリア・グレギーナ(アビガイッレ)、フェネーナ(ダニエラ・シンドラム)、ジャコモ・プレステア(ザッカリア)、アレクサンドロス・アントネンコ(イズマエーレ)


 新演出である。
 アビガイッレは、この役をやらせたら当代随一のグレギーナである。
 何かの雑誌で彼女のインタビューで「自分の一番の役。実際、この役を歌ってほしいという要請が一番多く、世界あちこちから引きも切らない。」と話していた記事を見たことがある。強靱な声を持つグレギーナにぴったりのはまり役だ。

 実は10年ほど前に、メトの新演出「ナブッコ」を見るためにニューヨークに出かけたことがあった。お目当てはグレギーナのアビガイッレであった。ところが、グレギーナは落っこちてしまった。(キャンセル)
 あれだけ世界の劇場あちこちで彼女はアビガイッレを歌っているのにチャンスがなく、今回ようやく聴けるのだなあ、と感慨深かった。(その後、8月のヴェローナ音楽祭で再び彼女のアビガイッレを聴いた。同年に2度。ま、得てしてこういうものかもしれない。)

 演出はセミ・モダン。舞台はシックなモノトーン調の色遣いで、簡素な装置。せり上がったり、横に移動したりして舞台空間に変化を起こさせた。だが、プロダクションとしてはプレミエの割にインパクトが弱い。

 昔は保守的だったバイエルン州立歌劇場も、今は他のドイツ国内の劇場と同様に現代的な演出で話題を呼ぶ。時に過激に観客を挑発する。激しいブーイングとブラボーの応酬となることしばしば。

 汚らしい演出、暴力的で作品を破壊しようとする演出は私も大嫌いだし見たいとも思わない。しかし、その一方で既成概念を覆すような新しい解釈を提示してくれる新演出を期待し、「何かやってくれないか」とわくわくしている自分がいる。その意味で、今回のプレミエはやや拍子抜けであった。

 この曲で特に重要な群衆のコーラスは素晴らしく、迫力のある合唱を響かせた。
 タイトルロールを歌ったP・ガヴァネッリは、私は以前からどうも好きではない。声が美しくないし、響かない。がなっているように聞こえる。
イズマエーレは、今年のザルツブルク音楽祭の目玉、ムーティ指揮のオテロでタイトルロールに大抜擢された注目の新進A・アントネンコ。大いに期待したが、結果は「おいおい、大丈夫かよ?」

 結局のところ、やっぱりグレギーナのナブッコだったのでした。ちゃんちゃん。