2009年2月28日 新日本フィルハーモニー交響楽団 すみだトリフォニーホール
ハイドンプロジェクト ロンドンセット第4回
指揮 フランス・ブリュッヘン
ハイドン 交響曲第102番、交響曲第103番太鼓連打、交響曲第104番ロンドン
ブリュッヘンがやっている音楽はいつもと変わらない。楽譜を忠実に読んで純粋な音楽に徹しようとする。浮かび上がらせようとしているのはひたすらハイドンの作品だ。
だが、オールハイドンのプログラムで、同じ解釈を一貫して繰り広げられるといささか飽きが来てしまう。ましてや後ろから見るブリュッヘンの指揮ぶりは猫背でこぢんまりとし、腕も回らないから、視覚的にも弱い。
オケはよくやっていると思う。微弱な電波を大きなアンテナで捉えてしっかり増幅している。指揮者とオケの強固な信頼関係は十分に感じられた。
第103番の冒頭のティンパニーで、トレモロではなく即興的にフォルテでたたくのを聴いたのは初めてだったのでビックリした。あとでプログラムを読んだら、ハイドンの時代はそういう即興のイントロを入れることはよくあったそうだ。当時の演奏を甦らせようとするブリュッヘンらしいアプローチということか。
私個人としては、古楽奏法にそれほどの価値があるとは思わない。甦らせるための試み、すなわち研究でしかないと思う。時代は既に変遷し、時代背景も流行も違う。今の時代にあった今の解釈を聴かせてくれればそれで良いと私は思う。