クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2008/9/13 都響

東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズ「作曲家の肖像」
指揮 大野和士
ソプラノ 佐々木典子  クラリネット 三界秀実  ファゴット 岡本正之
R・シュトラウス 4つの最後の歌
R・シュトラウス クラリネットファゴットのためのデュオ・コンチェルティー
R・シュトラウス 英雄の生涯


 例えば、イチローオリックスでプレーしていた頃から一流選手だったのに、メジャーリーグに行った途端に人々は彼のプレーに俄然注目し出す。スーパースターになるためには、「世界」で認められることが必須だ。(特に日本人は、この「世界」ってやつに弱いね。オリンピックを見ると、特にそう思うね。)

 クロアチアザグレブフィルという、けっして知名度の高くないオーケストラの音楽監督からスタートし、その後バーデン州立歌劇場、ベルギー王立歌劇場を経て、リヨン国立歌劇場へとステップアップした大野和士。その間、スカラ座、メトなどにも客演し、着実にキャリアを築いている。その大野和士の日本での客演とあって、「世界で認められた」大野を見ようと、客席は熱気が漂っている。チケットは即日完売したそうだ。ホント、日本人は世界に弱いね(笑)。

 そういうわけだから、大野は日本で今さら評判を上げようと気合いを入れる必要が全然ない。やるべきことは、ただ作品に向き合い、ただ作品に取り組むだけだ。それだけでよい。あとはオーケストラがしっかり表現してくれる。観客が一生懸命聴き入ってくれる。

 事実、大野のタクトは肩に余分な力が全く入っていない。作品は完璧に掌握されており、音楽に余裕が感じられる。オケに対するコントロールは万全だ。

 ごく一部のうるさ型のファンは「そんなのには騙されないぞ!ダメだダメだ」って言うかもしれないが、いいじゃないか。だってそういう客演コンサートなんだから。

 プログラムの中では、残暑の残るマチネーの公演で、会場を晩秋の寂寥感いっぱいの雰囲気に一変させた4つの最後の歌が良かったと思う。なかなか取り上げられる機会のないデュオ・コンチェルティーノも聴けて良かった。